- VOL.128 馬場 蓮 さん 31歳
- 今回は、ライン工から転職された馬場さんにお話を伺いました。
-軽貨物のお仕事を始めてどのくらいになりますか。
馬場さん1年11カ月になります。
-軽貨物を始める前はどのようなお仕事をされていましたか。
馬場さん前は食品工場でラインの仕事に従事していました。その前は、水道設備とか家具づくりなど職人系の仕事をやっていました。軽貨物は全くの未経験でした。
-どうして未経験の軽貨物の仕事に飛び込んだのですか。
馬場さん軽貨物じゃなくても良かったんですが、周りの人と同じでその当時お金に困っていたので、とりあえず稼げる仕事ということで始めました。
-前のお仕事ではお給料は上がりませんでしたか。
馬場さんお給料は上がりませんでしたね。その分休みとかはしっかりあって、残業も少なく、身体的には負担はなかったですが、給料はそんなに良くはなかったです。
-稼げる仕事を探す際に、軽貨物以外にも比較したものはありましたか。
馬場さんいえ、あまりなかったです。学がなくて、自分の身一つで稼げる仕事となると、特にできることがないので。家具は作れましたけど機械がないとできませんし。そう考えると初期費用がかからず始めやすいなと思ったのが配送の仕事でした。配送の仕事の中ではいろいろ精査はしました。
-精査をされる中で、宅配の仕事を選んだ理由を教えてください。
馬場さん歩合でやりたかったんです。職人時代の家具の仕事、自分の作った家具に値段がついてそれが給料になる。歩合じゃないですけれど、その感覚に近くて、それが楽しかったんですね。だから性分としてそういう仕事が合っているんじゃないかなと思って。運転も好きだし、ひとり仕事も好きだし、歩合でやりたいし、身体動かすのも好きだったので、この仕事は合っているんじゃないかなと思って。
-物流時代以外にも面接は受けたのですか。
馬場さんいえ、受けていないです。ドライバーズインタビューをみて、他の会社ではそういうのがなかったので、一番ドライバーの生の声が見えて、こういう感じなのかというのが分かって、安心できる企業さんかなと思って、行ってみようかなと。
-ドライバーズインタビューで印象に残った人はいましたか。
馬場さん20歳くらいの若い女の子のインタビューで、全然関係ないお仕事から軽貨物に入って、その子でも配送の仕事を始めて150~200個目指しますって言うのを見て、すごいなと思って、やる気をもらいました。
-物流時代と契約して、最初の研修は何日間ありましたか。
馬場さん研修は3日間でした。ほかのドライバーさんの車への横乗りが一日あって、自分の運転する車の助手席に指導する方が乗って配達するのが2日間ありました。
-配達初日でどのくらいの荷物を配達できましたか。
馬場さん持ち出しで100個、配達完了で90個前後でした。横乗りで研修してくれたドライバーさんができる人だったので、横に乗りながら配達のイメージは出来ました。
-初日から90個配達完了って、周りの方から多いと言われませんでしたか。
馬場さん多いって言われました(笑)。でも、自分の中では150個やりたいという目標があって、1時間でどのくらい配達しなければいけないとか、頭でシミュレーションしていたので、自分ではまだまだかなと思っていました。配達初日に12時までに60個配りましたが、その後午後の荷物が来るまでの間、買い物とか行っていたので、初日でもだいぶ余裕はあったと思います。
-午前中で60個って、多くの方が初日に一日かけて配る個数がそのくらいです。事前にコースの下調べとかしましたか。
馬場さん徹底的にしました。Google Earthで見ながら、自分でも下見で走ってみました。走りやすいコースだったんです。きれいに並んでいる住宅街で、在宅率もいいところでした。ただ、荷物の数自体は多くありませんでした。そのエリアで繁忙期を迎えて、多い日で持出170個くらいだったんです。それを乗り越えたときに、目標を高く持っていたので、エリアを変えてくださいとお願いをしました。
-今のコースでの荷物の配達個数はどのくらいですか。
馬場さん今では平均180個くらいの配達完了です。一番多いときで250個くらい配完でした。それもまだ繁忙期じゃなかったので、次の繁忙期を楽しみにしています。
-個人事業主として働くうえで、どんなところに気を付けようと考えましたか。
馬場さん現場には他の委託会社と契約しているドライバーさんもいて、人によって単価とか契約条件の違いがあるので、そうしたデリケートな話には気を付けないといけないと思いました。荷物の個数を増やしていただくようやり取りをするにしても、快く思わない方もいるので、目立たないように少しずつ増えるように気を付けていました。
-ドライバー同士で単価や個数の話とかは控えようということですね。
馬場さんはい。例えば、月給と歩合では同じ仕事をやるにしても働く価値観が違うと思います。月給で働く人はラクしたいだろうし、歩合で働く人は稼ぎたいだろうし、いろいろな価値観の人がいる中でうまく折り合いをつけながら、荷物をもらえるようにしないといけないと、やる前から真剣に考えていました。
-荷物が増えていくと周りからの反発とかやっかみの声がありませんでしたか。
馬場さん最初は言われました。初めて間もないころ、古参の人たちがたくさんいて、みんな仲良くやっているんですが、私はとりあえず稼ぐために自分の地盤をどう固めるようと動いていたんで、あまり関わることなくあちこちの仕事を貪欲にもらっていたので、周りから見たら面白くない部分はあったと思います。今はそういう人たちとも打ち解けています。エリアを色々移る中でつながりが増えていって「馬場君はできる人だから任せてもいいだろう」「馬場君だから大丈夫」と言ってもらえるようになって、ラクに仕事をできるようになりました。
-信頼を得ていらっしゃいますね。個人事業主のドライバーさんにはいろんな方がいますよね。
馬場さんサラリーマン的な考え方が抜けていない委託ドライバーさんがいるのも事実ですが、そういう人のことを僕も否定するつもりもありません。そういう人が「今日は休みたいな」というときに、休まないでくれよというのも酷だと思うし、助けますから休めばいいんじゃないですかっていうやり取りをして、現場が回るように心がけているつもりです。
-馬場さんみたいな人が現場にひとりいると全然違うと思います。
馬場さんそういう仕事がしたくて、今までいろんな仕事をやってきたところがあるので、今は天職というか、いい仕事を見つけたと思っています。
-収入面では、稼ぎたいという最初の目標は達成されましたか
馬場さん最初の目標は達成しました。最初は自分がどのくらい出来るか分からなかったので。今は、当時と単価が変わってきたり環境の変化もあったりするので、当時の目標とは変わりましたが、自分の限界が分かっているので、まだまだやれるなと思っています。
-まだまだやれる、というのは、どのくらいの目標ですか。
馬場さん320個は配りたいと思っています。計算上は出来るはずなんですが、荷物がそこまでないので(笑)。過去に超えたことあるよという人がいます。繁忙期とか荷物が増えればやってみたいなと思っています。
-多くの数を回りきるために工夫されていることはありますか。
馬場さん結構聞かれるんですが、周りの人とやっていることは変わらないはずです。周りの人はお客様の在宅時間を把握して、配達時間を考えて配達していると思います。僕もお客様の在宅時間は把握していて、車があればいるだろうなとか、洗濯物が干してあれば車はなくても夕方までには帰ってくるかなというのは分かっているんですけど。250個とか300個近くまで持つとなると、何回もトラックから荷物を積んでというのを繰り返すので、夜まで取っておくことができないんです。なので、片っ端から回る、不在だと分かっていても不在票入れて、お客様の都合の良いタイミングで再配達依頼をかけていただくというのが、今は一番早いという感じになっています。
-それだけ回るのもすごいですが、まずそれだけの荷物を任せてもらえることが信頼を得ている証ですね。
馬場さん実は、今走っているエリアは、他の委託ドライバーが辞めたときに2つのエリアをくっつけて僕がもらいます、と交渉して作ってもらったエリアです。「同じエリアを担当する社員さんが大変だよ」と最初は言われたのですが、社員さん以上に働くのでそれでやらせてください、と頼み込んで通してもらいました(笑)。
-物流時代のサポートはどうですか。
馬場さん僕はすごい信頼しています。困った時にすぐ対応してくれるので。
-例えば、どんなサポートがありましたか、
馬場さん物流時代から車を借りているのですが、毎日長時間乗るのでちょこちょこ不備が出たりはします。でも、エンジンが止まりそうなときも、「調子悪いかもしれません」って電話すると、2時間くらいで現場まで代車持ってきてくれました。僕も待っている間に荷物の積み替えしやすいようにして、来たら車両を入れ替えてすぐに再開できるっていうのは、強みですね。
-他にもありますか。
馬場さん人身事故を起こしてしまったこともあるのですが、その後の相手方とのやり取りとかも全部やってくださいました。事故を起こしたときは不安でどうしたらいいんだろうと考えたのですが、後のことは引き受けるので馬場さんは仕事に集中して下さい、と言ってくれて心強かったです。
-稼げるようになったということですが、プライベートの部分は変わりましたか。
馬場さん今は週6日で仕事をしています。週1日の休みに詰め込まなければいけなくなったのは大変ですが、その分ダラダラすることなくなりました。今までは休みがあってもお金がない、行きたいところもないから家で映画でも見ながらダラダラしちゃうという感じでした。それも悪くないのですが、性分的に動いているほうが好きないので、今は少ない休みの日にやることを詰め込んで、たまに空いた休みとかは家族で旅行に行ったりしています。休みのために一生懸命働くぞという感じです。
-これから軽貨物の仕事を始めようと思っている方へのメッセージをお願いします。
馬場さん自分が始めてみて思ったのは、「楽しい」ということです。一人で仕事をするのが好きな人は、初期投資も少ないし無理なく始められるので、挑戦するのはいいんじゃないかと思います。ただ、個人事業主として初めて仕事を始めるのであれば、自分の個人事業主としての立場はしっかり学んでおいた方が、始めた後に仕事をもらいやすくなるので良いと思います。
-個人事業主としての立場というのはどんなことですか。
馬場さん言ってみれば「イチ社長」という形になることです。費用面もいくら稼いでいるかとか、税金とかガソリン代とかを考えるのも自分で管理しないといけません。それを考えたうえで、月給で働いているドライバーさんたちがやりたくないっていう仕事にも、こっちはスタンスとしては仕事をもらっている立場というのを理解して、お互いがWin-Winになるようになるのが大事だと思います。個人事業主でないとそういう動きはできないと思うので。自分の立場っていうのを理解して、あなたたちがやりたくないのであれば僕もやりたくないというのではなく、できることは協力しますという姿勢の方が重宝されますよ。